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こんにちは私です。

ちょいと残業が多くてなかなか思うように書けない今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
気がついたらブログも1週間放りっぱなしさ。
今日の更新は「超雪歩」の4話です。

…ポチの命名は次回に持ち越し。
 仮事務所とはいえ、新たな事務所の広さはたるき亭の上だった頃とはさすがに違う。
たるき亭の上だった頃の765の部屋数と言えば社長室と事務室と、
部屋と呼んでいいのか未だにわからない給湯室の合計3部屋だけだった。
 要するにロッカールームという今日日のプロモーション会社どころか普通の会社なら一部屋以上持っていて当たり前の部屋が765に出来たのは本当にごく最近の話であり、
そして誰よりもロッカールームの誕生に狂喜したのは誰であろう高木順一朗社長だった。
 その心はと言えば大事なアイドル達になけなしの福利厚生を与えることができると大層ご立派な建前ではあったが、
ロッカールームに男性社員で手に持ったのがビデオカメラとくれば大抵行き着く先の相場は決まっており、
不届き者をあぶり出そうと寝ずの番をした菊地真と秋月律子が張った罠に最初に引っ掛かったのは誰であろう高木順一朗その人である。
 社屋を移した次の日にロッカールームにて青い顔で晒し物になっていた社長を見たときは流石のプロデューサーも本気で辞職してやろうかと思ったりもしたが、
しかしあれはあれで数えるほどしかいないが確かに在籍している他の男性社員にとってはいい薬になったのかもしれない。
 社長はと言えばその後アイドル達の頼みを無碍にできなくなったらしく、
サシ飲みをした段など「私には後悔などない」と言い切る社長の背中からは言い知れない哀愁のようなものが漂っていた。
 あんたは漢の鏡だ、プロデューサーは社長をそう思う。

 閑話休題。

 さて、おっかなびっくり事務所に入った雪歩を出迎えたのは無人の事務所だった。
つい先日事務所を移したところである765には当然今までたるき亭の上で勤務していた連中しかおらず、
ついでにたるき亭の上と言えば狭いというのは残念ながら事実である。
 765社員にはオラが会社を自慢する「事務員よりもアイドルの方が多い」という自慢なのか卑下なのか分からない言い回しがあるほどで、
営業から帰ってきたら小鳥すらいなかった、ということは割と珍しい事ではない。
 が、だとしたら先ほどブラインドカーテンを揺らしたのはいったい誰だったのか。
プロデューサーがさっと事務所を見回したところ、空き巣や押し入り強盗の類が入った形跡は今のところ見当たらない。
 もとから汚かった机の上はさておくにしても、貴重品の類が入っていると一発で分かる小鳥のハンドバッグなどを机の上に置き去る空き巣などさっさと捕まって然るべきである。
気のせいだったのかもしれないが、しかし事務所の中は「事務室に誰もいない」という日常の光景以上に不審な点は何もないように思える。
 よって、プロデューサーは雪歩にこう声をかけることにする。
「ま、とにかく荷物取っておいで。戻ってきたらミーティングするから、そしたら玉将に行こう」
 言うと、雪歩はまるで捨てられた子犬のような眼でプロデューサーを見上げた。
ワンにガサリにリトルグレイである。
雪歩にしてみれば今プロデューサーの元を一瞬とはいえ離れるのは自ら紐なしバンジーにトライしろと言われているに等しい。
「でっ、でもだって、」
 ロッカールームと事務室の間には二つの空間を隔絶するそこそこに丈夫な扉がある。
もし扉を開けて犬が出てきたとしたらどうするのか―――そんな目をした雪歩に、プロデューサーは何を勘違いしたのか、
「大丈夫だって。ロッカールームなんてすぐそこじゃないか。誰かいたらすぐに何とかするからさ、とにかく荷物取ってきなよ。並ぶのヤだろ?」
 雪歩がハマるだけあって玉将は結構な人気店だ。
まだ5時を回ったくらいだが6時を過ぎる頃には玉将は盛況となり、
いざ何かを食いに行くとなれば並ばずに食いたいと思うのは人の性である。
 見たところ空き巣の類は事務所にいないようだし、だとしたらさっさとミーティングして雪歩を労いつつ明日への活力を充填したいというのはプロデューサーの紛れもない本音である。
「…うう…。何かあったらプロデューサーを恨みます」
 雪歩の恨みますは穴と直結する。
プロデューサーは一瞬だけ笑顔をひきつらせ、しかし大人の対応で「大丈夫大丈夫」と実に適当な事を言う。

 ロッカールームの扉はそこそこに頑丈で、それなりの音量の物音はその扉に遮断される。
これは勿論ロッカールームで着替えることもあるだろうという見事な設計上の配慮であり、
衣服を脱ぐ布ずれの音が漏れない事に一番憤慨したのも高木順一朗その人である。
なんだかエロ親父を体現したかのような扱いだが事実なのだから仕方がない。
 が、とどのつまりそれは「それなり以上の音量は外から聞こえてしまう」ことを意味し、ロッカールームの前に立った雪歩は中から何かの物音を聞いた。
 背筋が凍った。
 何者かがこの中にいる。
 いや、「何者か」ならばまだいい。
日本語が通じるならば話もできるだろうし、しかし考えてみれば確か今日はやよいとあずさが出社しているはずである。
 という事はロッカールームの中にいるのはやよいかあずさのどちらかであろうし、ならば「今日はひどい目にあった」的な話でもしてさっさと玉将に行けばいい。
 が、「何者か」が「何物か」であったとしたら。
 可能性がないわけではない、先ほど雪歩が見たところ765の近くで愛犬の散歩がてらにダイエットに勤しむという無駄なあがきをしている有閑マダムはいなかったし、
ということは先ほど聞いたあの悪魔のごとき4足歩行の毛むくじゃらがいたとしたら冗談ではなく扉を開けた瞬間に失神する気がする。
 そこで、雪歩はロッカールームの扉を開けるにあたり、次善の策を取ることにした。
 ノックした。

「だっ、誰ですかっ!?」

 そして、扉の向こうから聞こえた声の持ち主はやよいらしかった。
思わず安心からのため息が出る、やはり先ほどブラインドカーテンを揺らしたのはやよいで間違いないらしい。
 しかし、聞こえてきたやよいの声色はいつもと様子が違っていた。
「あ、雪歩、です。…やよいちゃん?」
 雪歩です、と返事をした直後にロッカールームの中で何かががったんごっとんと揺れる音がする。
中にいるやよいは何か尋常なからざる様子である。
「ゆゆ、雪歩さん、おはようございます」
 芸能事務所ではたとえ会ったのが夜だとしても挨拶は「おはようございます」である。
が、おはようと挨拶をしてくるやよいの声色からは何か平素ではない焦りの感情が見え隠れしていた。
「あの、やよいちゃん、入っていい?」
 雪歩にしてみれば荷物を取らねばならないし、ロッカールームの中でやよいが何をしているのかも気にかかる。
 扉越しにやよいに声をかけると、そこで扉の向こうの雰囲気は如実に変わった。
「! だ、だめですっ!! 雪歩さんはだめです! 入っちゃだめです!!」
「や、やよいちゃん? どうしたの?」
「どうもしてないです! でも雪歩さんだけはだめですっ!!」
 自分は一体いつここまで拒絶されるほどやよいにひどい事をしただろうか。
 雪歩は疑惑いっぱいの顔で己の所業を鑑み、しかし最後にやよいに会った先週の記憶を掘り起こしてみても最後は笑顔でお疲れ様ですとか言った気が

―――誰かいたらすぐに何とかするからさ、

 まさか。

 事務所の中に賊が入ってやよいを恐喝しているのだろうか。
可能性としてないわけではない、賊が侵入した直後に自分たちが帰ってきて、
姿を隠そうとロッカールームに逃げ込んだ賊が着替え中のやよいを見つけた可能性だってないわけではない。
 悲観的な発想はすぐさま雪歩のたくましい妄想によって具体的な画像を作りだし、
妄想の中で首元に刃物を突き付けられたやよいの表情は今にも泣きだしそうである。
 この想像はよせばいいのに昨日見たサスペンスドラマが元になっているのだが、
昨日見たサスペンスドラマの立てこもり犯は銀行の受付嬢の首元に柳刃包丁を突き付けてこんなことを言っていた。

 仲間を呼んだらひどい目に遭わせるぞ。

「やよいちゃんっ!! 大丈夫!? 」
「だっ、大丈夫ですからちょっと待っててください!! 本当に何でもないですから!!」
 雪歩の叫びに何事かとプロデューサーが吹っ飛んでくる。
雪歩の泣き出しそうな表情に何かあったに違いないと判断したプロデューサーはドアノブに手をかけ、中から鍵がかかっていることに舌打ちする。
「やよいか!?」
「中にいるみたいなんですけど、ぷ、プロデューサー、私どうしたら、」
「ほんとに大丈夫ですからっ!!」
 大丈夫な奴はそんなことを言わない。
プロデューサーは横でおろおろうろうろし始めた雪歩に一度だけ目配せし、
「やよいっ! 開けるからなっ!!」

 蹴破られた扉の向こう、屈みながらヤバさ満点の表情をしてこちらを見たやよいの股下で、4足歩行の茶色い悪魔が雪歩をしっかりと見ていた。

 プロデューサーのでかい足がロッカールームの扉をけり破った時の事を、雪歩はのちにこう回想している。

 どうしてあの時失神しなかったのか、今でも疑問なんです。




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2009.08.01 Sat l がんばれ超がんばれ雪歩 l コメント (0) トラックバック (1) l top

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