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…ちょっと長くなっちゃった。
例:天海春香の場合。

―――えー、犬ですか!? わ、ほんとだ可愛いー! お散歩とご飯の準備? どーんと任せてください! …何ですかその不安そうな目。で、この子何ていう名前なんです? …ああなるほど、私たちに決めてほしいってことですか。やよいは何て言ってるんです? あ、了解です。じゃあそうですねー…うん! これしかない! 子犬だしぴったりだと思いますよ! 『ワン』ちゃん!! どうですかプロデューサーさんってあれ? あのなんでそんなかわいそうな目で私のこと見るんです?

例:如月千早の場合。

―――はあ。そういうことですか。番犬として飼うのであればいいと思いますよ。音無さんしかいないときの事務所はちょっと危ないと思うときもありましたから。はい。ええ、そうです。…! いえ、私は別にそういうわけでは! …まあ、いいです。名前を決めてほしいというのは分かりましたが、高槻さんは何と? ああ、なるほど。分かりました。それでは…んー、…そうですね、まだ子犬ですし、良い名前にしないといけませんね。―――そうだ! 『ゴン

例:双海亜美・真美姉妹の場合。

わーーーっ!! 可愛い可愛い可愛いーーー!! ねーこの子にーちゃんが拾ってきたの? マジで? やよいっちやるなー。ねーうちでも飼えないかな犬? …三日で世話に飽きる? 兄ちゃん後でロビンスペシャルね。うん。もう遅いよ。…おー! 名付け親の権利! いいないいな、何て名前にしたらいいかな。呼びやすいのがいいよねー。えーでもポチとかタマとかつまんなくない? ねーこの子癖とか特徴とかないの? ふーん。まだ生まれたばっかりなんだ。何犬? 柴? シバイヌ? じゃあねーえっとねー、『シバ』ちゃん!! あー真美ずるいー! それあたしが言おうと思った名前ーっ! へっへーん、早い者勝ちだもんねー!

例:菊地真の場合。

うわ可愛いなぁこいつ! 鼻ひくひくさせてるっ!! いつ事務所に連れてきたんです!? え、昨日? ああ、昨日ボク出勤日じゃなかったしなぁ。目はもう開いてるんですか? え? それも昨日? うわ、生まれたばっかりじゃないですか!? ああ、それで名前。ふぅん。あれ? でも昨日雪歩も出勤日でしたよね? へ? 認知済み?
やーりい。よかったなーお前、雪歩公認だぞぉー。
それにしても名前ですか。名前ねぇ。名前名前。うーん……。え? いや大丈夫ですよすぐ決まりますって。女は度胸! …なんで笑うんですかプロデューサー?
…うん。じゃあ『ハヤテ号』なんてどうですか? 足早そうだし。よーしお前は今日からハヤテ号だ! ボクの散歩はみんなより早いからなー! 頑張ってついてこいよー!

例:秋月律子の場合。

…いきなりハリセンはきつい? 何言ってるんですか。ここは動物園じゃないし誰かのうちでもないでしょう。いきなり犬とか言われてもね。えさ代とか予防接種費とかトイレシート代とかその他もろもろの経費はどうするんです? …え、社長公認? あの人ウチの財政状況分かってんのかしら。まあいいです、アニマルセラピーなんてものもあるくらいですからね。
雪歩は大丈夫なんですか? ああそう。気絶済み。知ってますプロデューサー? ハリセンって水にぬらすと本当に痛いんですよ?
名前ねえ。…うーん。まあ無難に『ハチ』とかでいいんじゃないかしら。あんまりおかしな名前つけるのもかわいそうでしょ? 

例:水瀬伊織の場合。

へえ。雪歩がいるのに犬飼うんだ。かわいそー。何よ、冗談よ冗談。ここにいるって時点で雪歩はこの子の事認めてるんでしょ? だったらいいじゃない。…なっ! 何バカな事言ってんのよ! 私は雪歩が泣きわめきながら逃げ惑う姿をね! …はあ。まあいいわ。そういうことにしといてあげる。
それで? 候補生に名前を決めてほしいって聞きまくってるわけ? あーなるほど。アンタにしては上々の判断ね、アンタに名前つけられるなんてかわいそうじゃないこの子も。
それにしても名前ねぇ。うーん。他のみんなは何て言ってるの? は? 反則? そんなものあるわけないじゃない。何? 守秘義務? いいじゃないどうせ最後にはバレるんでしょ? はいはい、分かったわよ。じゃあそうね―――茶丸とかどう? 毛並みが茶色いから。ああ、でもちっちゃいから『子茶丸』ね。子茶丸。いい名前じゃない。アンタ感謝しなさいよ、この伊織ちゃんに名前付けてもらえるなんてこの世で最高の名誉なんだから。にひひっ。

例:星井美希の場合。

んー。ワンちゃんの名前? ん。んー。ミキ分かんないの。あ、ああ? あ、そういうこと。名前がないから決めてほしい? あー了解なの。なんにしよっかなー。千早さん何て言ってた? え? ゴ? あー…。ミキそれ知ってるの。テンは人にニブツを与えずっていうんだよね。うん。
名前…名前ね。名前…この子の名前。んーちっちゃくて毛並みふさふさしてるんだね。何がいいかなぁ…。プロデューサーには何かミョウアンはないの? あ、ないから聞いてるのか。ごめんね。怒っちゃヤなのー。
名前ー名前ー…うーん、難しいの。ミキ難しいのキラーイ。眠くなっちゃった。あふぅ。
あ!
いいの思いついたの!! 聞きたい? 聞きたい? あのね、これなら絶対忘れないの! 分かりやすくてかわいくて絶対忘れない名前! うん、あのね、『おにぎ

例:音無小鳥の場合。

グリマー。


「…つうわけで大変個性的な名前が集まりましてですね」
「うー…。全く被らないですねぇ…」
「ああ。全く被らなかった。唯一やよいと雪歩がポチで被っているくらいだ。双子にはつまらんと言われたが」
毛玉が事務所の新しいメンバーになってから1週間が過ぎ、その存在は候補生全員に知れ渡る事になった。あるものは可愛がりあるものは必要以上の関心を示そうとはしなかったが、おおむね散歩程度の世話については了解を得られた事にプロデューサーは安堵する。名前を決めなければ ならないと言いだしたのはやよいではあったが、どうせこれからみんなで世話をするのなら皆に名前を決めてもらったらどうかという提案をしてきたのは現在事務所の入り口でいつでもこの場を離脱できるように準備している雪歩だった。それにしても今日の雪歩は厳重装備である。安ヘルと右手の削岩用ドリルはまあいつもの事として、左手には『宮内庁保安警備隊』と白字で書かれたアクリル製の盾を持ち足周りにはアメフトのサポーターを付けた雪歩はどこからどう見ても学生運動鎮圧に駆り出された武装警備隊の様相を呈していた。
「どうやって決めましょうね?」
「どうしようなー。まさかここまで被らないとは思わなかった。どうしよう」
「ううー。どうしましょうー」
雪歩ががっちりガードを固める前でプロデューサーとやよいは頭を抱え、件の毛玉はといえばソファの上でのんびりあくびをかましている。なんとなく美希に似ている。あふぅとかどうよと言いたくなるプロデューサーだったが思惟による決定は後の流血の元である。あくまでも候補生に名前を決めてもらう必要があった。
「まああれだ、千早と美希のとても残念な名前は置いとくとして、他の名前から決めるか。えーと『ワン』と『シバ』と『ハヤテ』と『ハチ』と『子茶丸』と『ポチ』か。何がいいかな」
「あのプロデューサー、どうしてあずささんのはないんですか?」
「あずささんは先週から行方不明だ。最終目撃者が言うにはあずささんは『近所のスーパーに買い物に行く』と言っていたらしい。今は多分ブエノスアイレスあたりにいるんじゃないか?」
やよいの素朴な問いにプロデューサーは淡々と答えた。近所のスーパーに行くのになぜ海を渡るのだろうやよいは思うが、世の中突っ込むべきところと突っ込むべきでないところがある。座薬とか。
「しかし困ったな。どう決めよう。うーん…」
そこで、困り果てたプロデューサーとやよいに、遠くから声が掛かった。
「あ。あの、プロデューサー」
「お。どうした警備隊」
「その子に選んでもらう、というのはどうでしょうか?」

プロデューサーとやよいは揃って頭にはてなマークを浮かべた。
「あの、だから、紙にそれぞれの名前候補を書いて、床に並べて、そのぅ」
ああなるほど。未だ首をかしげるやよいを横目にプロデューサーはポンと手をたたき、
「なるほど。名前を紙に書いて床に並べて、こいつが近寄った名前にするってことか」
指差された毛玉は興味深そうな顔をしてぱたぱたとしっぽを動かしている。遊んでくれるのかくれないのかどっちなんだろうと判断しているような毛玉のその動作に雪歩は一瞬だけ身を強張らせ、
「はい。それなら多分、皆納得するんじゃないかな、って」
「…そうか。そうだな。その手があった。よしやよい、それでいいか?」
「はいっ! そうと決まれば雪歩さん! 名前書きお願いします!」

下準備は簡単である。
まずA4サイズの用紙6枚にそれぞれの名前候補を書く。椅子やサーバー、その他床に置かれた私物のバックや散乱した書類などの毛玉が興味を持ちそうなものを机の上に上げ、名前候補とソファの間にそれなりの広さの空間を確保する。次に小皿を6枚準備し、それぞれに温めた少量のミルクを注ぐ。毛玉がミルクを飲むために皿に近づくと自動的に名前を書いた紙を踏むという仕掛けであり、その踏まれた名前が毛玉の名前になる、という仕組みである。仕掛けは雪歩が担当し、その間プロデューサーとやよいは毛玉を抑え込むのに専念する。すばしっこい毛玉がプロデューサーとやよいの手を潜り抜けて何か面白そうな事をしている雪歩に近づいたらゲームオーバーであり、幸いにして毛玉は必要以上に暴れることなく雪歩は無事に下準備を完了させる。オーダーは右から順に『シバ』『ワン』『子茶丸』『ハチ』『ポチ』『ハヤテ』であり、何の思惟も介在しないように雪歩が目を閉じて並べた順がこれになる。
雪歩は毛玉の視線から外れるように毛玉から見て左方向に退避、以上で準備は完了となった。
「ぷ、プロデューサー。準備できました」
「よし。雪歩ちゃんと隠れたな?」
「はい。大丈夫です」
雪歩は現在机の影にある段ボールの中に隠れている。万が一にも毛玉がミルクの小皿を通り越しても雪歩が目に触れないようにとの涙ぐましい配慮であり、プロデューサーはそれを確認したのち、やよいに頷いて合図をする。
かくして作戦は開始される。時刻は1743、本日の天候は晴れであった。

やよいによる拘束が解かれると、毛玉は驚いたようにやよいの顔を見る。
「大丈夫怖くないよ、あそこにミルクがあるよ」
やよいの指差した方向には踏み絵とミルクの小皿が湯気を立てている。すでにぱっちりと開かれた毛玉の眼はそちらを一瞥、やよいに促されるようにあっちにふらふらこっちにふらふらしながら徐々にミルクの小皿に近づいていく。
「よし、よしよしよし。そのままそのまま。どれ飲んでもいいぞ、どれ飲んでもいいから何か踏め」
プロデューサーのつぶやきに力がこもる。毛玉は香り立つミルクの小皿に引き寄せられるように歩を進め、ゆっくりと、寄り道しながら、しかし確実に名前の紙まで近づいて行く。
「よーし、よしよしよしよしよし」
ムツ○ロウさんのような声を上げるプロデューサーにやよいは人知れず拳を握りしめ、毛玉は後ろからの言いようのない圧力に不安気に歩を進め、そして遂に明確な意図をもった視線をミルクの小皿に向けた。
あと3メートル。
あと2メートル、
あと1メートル

ところで、犬に限らず動物というのは得てして弱視である。進化の過程において人類は視力を強化させていったが、大脳を発達させるに至らなかった各種動物はそれぞれ視力以外のさまざまな部分を強化し、人類に決して劣らない各種の能力を身に付けた。例えば犬なら鋭い嗅覚といった具合である。そして、生後数日と思しき毛玉も勿論生物学上ネコ目イヌ科イヌ属に分類される哺乳類の一種である。
「お、」
「あ、」
それまで毛玉が進んでいた先には『シバ』というシートがあった。このままいけば彼の名前は『シバ』で落ち着いたはずである。しかし、何を思ったか彼は『シバ』という名前シートの僅か50cm程で角度を転換、それまでとは打って変わった強烈な踏み込みでいきなり急加速を開始する。プロデューサーが動き出すより前に彼は驚きの速度で名前シートの列を横断、うち一枚のシートから「クシャ」という音が聞こえた。
が、彼は止まらない。名前シートどころかミルクの小皿にも目をくれず、彼がまっすぐ進む先には人が一人入れるくらいの段ボールが一つ鎮座している。
彼は覚えていたのだ。自分よりも明らかに弱いと思われる、群れの中の最下位を。自分が遊ぶに丁度よい存在を。そしてその最下位の匂いがその段ボールからしていることも、彼はどうやら一発で嗅ぎ分けていたらしかった。

「にゃぁああああぁぁああぁぁあぁあぁあぁああーーーーーーーっ!!!!」

「雪歩ーっ!! やっぱり分かってたけどこういうオチかーっ!!」
「いやああああ舐めないでダメくすぐったいいやぁ生あったかいきゃあああああ!!!」
「やよいっ!! 手伝ってくれ、毛玉を雪歩から引きはがす!」
「わ、分かりましたっ!」
既にそこは平和な株式会社765プロデュースの事務所ではなく人食い熊が飼育員を襲う動物園である。プロデューサーは毛玉のために開けた通路を一気に突っ切り、雪歩の服に爪まで立てて顔をべろんべろんに舐めまわしている毛玉を引きはがそうとしている。
そしてプロデューサーの後に追従したやよいは、中央を踏まれたその紙を見た。
「やめろコラ毛玉! お前なんて羨ましい事を!」
「変な事言ってないで助けてくださいプロデューサー! あっ、いやダメそこダメちょっと!!」
既に2度目となった顔面直舐めは雪歩の精神に少々の抵抗力を発生させたらしかったが、雪歩にしてみれば残念なことに地獄の延長に他ならない。噛むのも舐めるのも同じ口だ。プロデューサーは雪歩の服をがっちりつかんだ毛玉の爪を引きはがそうとし、毛玉は毛玉でしかし必死の抵抗を見せ、まさに雪歩の精神がお花畑と綺麗な川べりに差し掛かろうとしたその瞬間、やよいはひときわ大きな声を出した。

「ポチ!! やめなさいっ!!」

その瞬間、毛玉の爪を引きはがそうとしていたプロデューサーは動きを止め、綺麗な小川に足を踏み入れようとした雪歩は現実に引き戻され、そして毛玉はびくりと体を強張らせた。2人と一匹がゆっくりと打ち合わせでもしたかのように背後を振りかえると、そこには仁王立ち腰に両手スタイルの怒れるオカンスタイルをしたやよいがいた。その片手には踏まれて歪んだA4の紙があり、そこには毛筆で筆記された達筆なカタカナ2文字が書かれていた。
765の妹キャラと言われるやよいではあるが5人兄弟の最長女である。その発言にはプロデューサーをして無条件に従わざるを得ないような気迫に満ちていた。
毛玉は怒れるやよいの迫力に押されるようにおもちゃから離れ、そのままやよいの周囲を回り出す。まさにごめんなさいもうしませんを垂れた尻尾で表現している毛玉に向かい、やよいはとどめと言わんばかりに命令を下す。
「ポチっ!!」
毛玉はピシリと固まった。
「お座りっ!!!」
そして毛玉はやよいのその台詞に、実に従順に腹を見せたのだった。

こうして、毛玉の名前は正式にポチに決まる。
双子がつまらないつまらないと言ったり千早が「くっ」と言った以外は概ね良感触を持って迎えられた毛玉はこの後765に大騒動を引き起こすことになるのだが、それは今後おいおい語っていくことにする。
また余談ではあるが、行方不明となっていた三浦あずさはその翌日になぜかベルリンの壁の破片を持って帰ってきた。ポチがあずさの姿を見た瞬間に社長室に逃げ込んだのはあえて特筆しておく。
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2010.09.13 Mon l がんばれ超がんばれ雪歩 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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